年中行事


醍醐天皇は弘法利生の想いを空海上人へ


弘法諡号を下賜された醍醐天皇は御誓願を大きく注がれました。
ご自身が祈りを捧げられた准胝 観世音菩薩の霊験のもと、聖宝様に薬師如来を おまつりし、人々の病の癒しを祈ることを命じられ ました。
また、五大尊像をおまつりし、仁王法を修 することにより国の安泰、人々の平和を祈ることを 大切にされました。
~人が人に対して祈る~多くの現代人にとって、 祈りの原点になっているのが「人が人に対して祈り、命が命に対して祈る」という行為です。世界の諸宗教でも、人を虐げられると神ではなく人に祈る、「大師いまだおわします」の本質はここにあります。亡くなった命に対しても、生きているままにお 仕えするのです。



慶讃法要について

  • 11月26日・・・竪義会 午後12時30分より 場所:金堂
  • 11月27日・・・弘法大師諡号下賜1100年慶讃法要 午前10時より 場所:金堂
  • 11月28日・・・柴燈大護摩供 午前10時 場所:柴燈護摩道場
  • 11月29日・・・醍醐天皇報恩謝徳法要 午前10時30分より 場所:五重大塔
  • 11月29日・・・清瀧権現末社復興報告法要 午前11時30分より 場所:清瀧宮


※各法要への金堂内のご参座はできません。
※柴燈護摩では当日、添護摩木をお授けしておりますので、御祈願して頂けます。


弘法大師諡号下賜1100年慶讃事業のご案内

●三宝院特別夜間拝観・・・11月21日㊐~29日㊊  午後6時から午後8時50分


三宝院は永久3年(1115)、醍醐寺第14世座主・勝覚僧正により創建されました。庭園全体を見渡せる表書院は寝殿造りの様式を伝える桃山時代を代表する建造物であり、国宝に指定されています。
国の特別史跡・特別名勝となっている三宝院庭園は、慶長3年(1598)、豊臣秀吉公が「醍醐の花見」に際して自ら基本設計をした庭であり、今も桃山時代の華やかな雰囲気を伝えています。
本年は、秋の三宝院をはじめて夜間公開し、拝観いただけます。
(拝観料:大人1,000円)



●五重塔特別拝観・・・11月27日㊏~29日㊊  午前9時から午後4時


醍醐寺の国宝五重塔は、京都最古の木造建築物で951年の建立。醍醐天皇の菩提を弔う為に建てられました。応仁の乱の戦火を免れて唯一の創建当初の建物で、内部の壁画も国宝に指定されております。
弘法大師諡号下賜1100年を記念し、日本最古の壁画に描かれた弘法大師の肖像画を公開します。
(拝観料:大人1,000円)





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※作品イメージです

期間:11月21日㊐~12月5日㊐
時間:午前9時から午後5時
夜間拝観(午後6時から午後8時50分)






人が人を思慕する思い(弘法大師諡号下賜1100年慶讃によせて)
醍醐寺は、本年11月25日〜29日、弘法大師諡号下賜1100年を記念して、慶讃の法要とそれに合わせて慶讃事業が行われます。
真言宗の宗祖でもある空海上人に、生前の社会に対して貢献の大きかった方に朝廷より送られるお名前である「諡号(しごう)」として「弘法大師」という大師号が醍醐天皇から下賜されました。
当時、東寺(教王護国寺)の長者であった観賢僧正が醍醐天皇に願いでて送られた諡号ですが、観賢僧正は醍醐寺の初代座主でもあります。
醍醐寺は、空海上人の実弟であり、弟子でもあった眞雅僧正のお弟子さんである聖宝尊師(理源大師)によって開山されましたが、開山当初より、空海上人の教えの中で繰り返し説かれる、「父母への恩、師への恩、国(社会)への恩」を大切にし、人に対する感謝の思い、心に心をよせることを教えの柱としてきました。
その中で、師の恩を大切にする思いの象徴として、醍醐寺では、宗祖空海上人に「弘法大師」の諡号が贈られる以前から、「南無遍照金剛」と空海上人を思慕し、お徳を奉じておりました。
「遍照金剛」は、空海上人が中国、長安で修行していた時に、その聡明さが認められて与えられたお名前でした。
つまり、大師号が下賜され人々が「南無大師遍照金剛」と唱え、参ずる前から、醍醐寺では「南無遍照金剛」とお唱えしており、それが現在まで続いております。
今回の慶讃法要、慶讃事業におきましては、先人達の思いに心をよせ、世界がコロナ禍で苦しむ中、最も大切なものは、「心と心のつながり」であり、「人が人を思慕する思い」、人への思いやりであることをもう一度考えていただきたく、その機会となるように様々な法要、事業を計画しております。
「ひとつの命」の重さを考えるとき、「他の命があるからこその命」であり、「自然との繋がりのなかにある命」について、思いを馳せていただける機会といたしたく思っております。

                        

※令和3年10月21日配信のメルマガ「醍醐寺通信」に掲載されています。